プロフィール

1956年、映像作家の小島晃は東京に生まれました。日本の経済成長の足音がようやく聞こえ始めた、そんな時代でした。当時まだ住宅も疎らな東京郊外で少年時代を過ごした小島は高校時代から写真に興味を持っていました。

1970年代、当時の日本の写真界は森山大道、荒木経惟など、時代の息吹を感じさせるラジカルな写真家たちが注目を集めていました。「なんてカッコいいんだ!写真は芸術だ!」 写真専門学校に進んだ小島は在学中からファッション写真家のアシスタントをつとめ、20代の半ばになるとフリーランスのカメラマンとして女性誌の仕事などを少しずつ始めるようになりました。当時の撮影はポジフィルムで、撮影してから現像が上がるまで結果はわかりません。うまく写っているか? そのプレッシャーの中で仕事を続けていくのは心配性の彼にとっては少し荷が重かったようです。そんな時、普及し始めたビデオに出会います。撮ったその場で結果がわかる新しいメディアは彼にぴったりでした。フリーランスでビデオの編集の仕事を始め、やがてディレクターになります。

1988年、ふとしたきっかけで映像制作会社にプロデューサーとして入社。以後、約28年にわたって映像制作を続けることになります。さまざまな分野の映像を作りましたが、博物館、美術館の展示映像を手がけたことからアートの魅力に強く惹かれるようになります。

転機になったのは、2008年2月に三重県立美術館で開催された「液晶絵画 Still / Motion」展でした。国内外の一線で活躍するアーティストたちによる展示はすべて液晶ディスプレイによるもの。小島は日本画家千住博の作品のアニメーション化を担当しました。8枚の縦型70インチ液晶ディスプレイが屏風のように並べられました。のちに小島は自らの作品制作のなかで千住博の作品からさまざまなインスピレーションを受けることになります。この「液晶絵画」展で小島は数多くの海外アーティストによる映像作品を目にして「これは自分がやらなくては」と直感したといいます。技術的には何の問題もありません。こうして彼の作家活動と試行錯誤が始まりました。

2008年11月の小規模なエキシビションを手始めに何回かの個展を経て、現在のコンセプトによる映像表現となったのが、2013年に東京・表参道画廊で行われた「雲晴れ退きて光あらはせ」展でした。写真を素材にした初期の動画から大きく変わり、動画で撮影・編集された映像作品は、画廊のホワイトキューブの一面をフルに使って上映されました。長いカットと音声をまったく使わない13分ほどの映像は、観客の内面にそれぞれのイメージを浮かび上がらせ、静かな感興を呼び起こしました。

 

【展覧会】

2008年 「十秒綵画」(東京・珈琲屋 とと)

2010年 「十秒綵画 2010」(東京・表参道画廊)

2011年 「東京ボタニカル」(東京・表参道画廊)

2013年 「雲晴れ退きて光あらはせ」(東京・表参道画廊)

2015年 「雲晴れ退きて光あらはせ II」(東京・表参道画廊)

2017年 「風性常住 epiphany」(東京・表参道画廊)

展示風景
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